煙突小僧の復讐
自分の頭に、
この煙突がついてなかったら
どんなに生きやすかったのかと、
勝は思わない日がない。
勝を身籠って3ヶ月目、エコー検査で
彼の奇怪なシルエットを見た両親と、
その道30年の産婦人科医師は
かなり動揺したらしかった。
胎児の頭頂部から3cmほど、
ストローくらいの太さの筒状の突起が
生えていたからだ。
その突起は頭蓋骨から連なる
骨だった。
勝の突起はたびたび
母親の腹を内側からつついた。
その度に母親は針で刺されるような
痛みを感じ、難儀していたようだ。
出産もなかなか困難なものだった。
勝の筒状の突起で、
産道をなるべく傷つけないように、
医師と彼の両親は帝王切開を選んだ。
腹をかっさばいてまで
頭に突起を生やした我が子を
産み落とした母親の当時の心境は
いかほどのものだったかと、
たまに勝は想像してしまう。
(なんか疲れたから、続く)
(ピンス)