サブログのログ

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赤子の僕は、多摩川の河川敷であなたに出会うまでずっと泣いていた

生みの親の顔は見たこともない。

 

しかし、幼稚園くらいの頃だろうか、

両親と街に出かけたその道すがら、

見知らぬ女性の姿を見止めた父が

血相を変えて怒鳴りつけていた記憶がある。

 

母は僕にその光景を見せないようにしてなのか

覆いかぶさるように僕を抱きしめていた。

 

思い起こせば、あの女性が

僕の産みの親だったのかもしれない。

 

 

僕が両親から実の息子ではないと

初めて聴かされたのは

高校に入学して間もない頃だった。

 

多摩川の河川敷で、

懺悔の言葉で綴られた手紙とともに

捨てられていた僕を見つけ、

そのまま引き取ることにしたのだそうだ。

 

「血がつながってはいなくても、

 他の兄弟となんら変わることなく

 お前を愛してきたし、

 お前ことがかわいくて

 仕方がないんだ」

 

両親はそう言ってくれたし、

その言葉は心からのものなのだろう。

 

しかし、僕はすでに

自分が二人の本当の子ではないことに

気づいていた。

 

ずっと両親の振る舞いの中に

違和感のようなものを

感じ続けていたからだ。

 

だから両親からこのことを

告げられたときも特段に驚くこともなく、

むしろ「ああ、やっぱりか・・・」と腑に落ちた。

 

 

血が繋がっていない。

 

でもそれが何だというのだろう。

 

二人は僕に、

生き方を教えてくれた。

愛してくれた。

一人の大人として社会で暮らしていけるくらいに

育ててくれた。

 

立派に、育ててくれた。

 

知識も、礼儀も、立ち振る舞いも、

無理を言って続けさせてもらったサッカーも、

そして名前も、

 

全て、与えてくれた。

 

 

 

 

山本 河川敷

 

それが僕の名前だ。

 

 

 

 

(ピンス)