サブログのログ

ここでしか聞けないサブログ秘話がてんこ盛り!?

記憶に残る言葉


こんばんは、ピンスです。



大げさでなく、
自分の人生を変えてくれた言葉が
人それぞれあるのではないかと思います。


私にも勿論、何個かあります。



一昨年、
新卒で入った会社を辞めた後の話です。


私はかねてからやってみたいと企んでいた
世界一周旅行に行ってきました。


中国の北京に始まり、

シドニー
ニューデリー
パリ、
フランクフルト、
ロンドン、
リオデジャネーロ、


そして最後に訪れたのが
ニューヨークでした。


ニューヨークで滞在していた
ホテルのボスになぜかスカウトされ、
私はそこで働くことになりました。

(観光ビザだから、
 あくまでボランティアという形でしたが…
 宿泊費だけタダにしてもらいました)


ブルックリンにあるそのホテルですが、

格安の料金だし、
近くにメトロが3路線くらい通っていて
交通の便がかなり良いのですが、

掃除がマジでなっていなくて
鬼のように汚い!


私が宿泊した初日も
前の客が飲んでいたであろう
空きペットボトルが床に転がっていました。


そこで、働き出してから
掃除の作業チェックリスト作ろうと
思ったんです。


その通りにしたら、

誰がやっても均一のキレイさになるように。


さらに、掃除の作業量を増やすと
他の仕事が回らなくなってしまうので、

その分意味不明な仕事を
整理してしまうことも考えました。


チェックアウト15分前の10:45になったら
全部屋ノックして、
「11時になったら即刻出て行け!」と通告して回る
なぞの仕事とか…

その時間削って掃除したほうが
良いと思ったんです。


でも、当たり前ですが
私の一存でこんなことできません。



そこで、企画書を作って

ボスに見せることにしたのですが・・・

この企画書作りに、
えらい時間がかかりました。


まず英語だし。

ツールも、
前の会社はワードとエクセルだったけど、
初めて使うgoogleドキュメントとスプレッドシート
てんてこ舞いだったり。


シフト時間中は
ベッドメイクとか雑用とか、
本来の私の業務もあったりするので、
企画書はシフト外の時間でやらなければいけない。


そんなこんなで、
なかなか企画書ができず、
ルールを変えられない日が続きました。


その間、お客さんに
めっちゃ汚い部屋に泊まらせるわけにもいきません。


なので、仕方なく

私一人ゲリラ掃除をしていました。


わざわざ旅行しに来て、
部屋のほうきがけをし続ける私。

しかもタダ働き。


自分でも
「何やってんだろう・・・」という
思いがよぎります。


でも、育ててもらった前の会社を辞めてから
その当時まだ半年しか経っていなくて、

さらに、ただ一人の日本人スタッフだったので、


勝手に「前の会社」と「日本」の誇りを
背負ったつもりになり、
なんか意地になって掃除をしていました。


日本のワーカーなめんなよ!的な
気分に浸りきっていたんです。



しかし、一番辛かったのが
他のスタッフからの眼でした。


私が掃除をきっちりやりたがっていて、
そのための画策をしていることは
みんな知っていました。


でもみんな、別に掃除をしたくはありません。


私がみんなの仕事を増やそうとしていることを
みんな分かっていてて、
それを嫌がっている人も中にはいるわけです。


その人たちの、視線が辛い。


嫌がっている人たちに
無理やり仕事増やして、やらせて、

「これ何の意味があるんだろうか?」

とかなり悩みました。


くどいけど、
しかもタダ働き・・・。



そんなときです。


私が仲良くなったホテルの同僚に、
マイキーという二十歳の青年がいました。


マイキーは「ナルト」や村上春樹など、
日本のカルチャーが大好きだったため、
私が働きだした当初から
かなり友好的でした。


片言の英語しか喋れないうえに、
お客さんの言っていることが
基本分かっていない私を
よく気にかけてくれもしました。



そして、この時もマイケルは、

日本の裏側にわざわざ来てまで
掃除について真剣に悩んでいる私に

気づいてくれました。


パソコンを前に悪戦苦闘している私に近づき、



“Keep going.”
“Keep like you.”



と声をかけてくれたのです。


私の感覚でこの言葉を訳すのであれば

「行ききれ」
「自分らしくあれ」

というところでしょう。


企画書を書くべきなのか、書かないべきか。
ゲリラ掃除をすべきか、しないべきか。

悩み続けていた私にとって
これほど勇気をくれる言葉はなかったと思います。


この言葉に背中を押され、
私は企画書を書き上げ、ボスに見せました。


ボスのワンマンで成り立つこのホテルで
そもそも企画をあげるやつなんていないので、
ボスは適当に流し見て、

「OK...」とだけ言いました。



結局、苦労して作ったチェックリストは
使われませんでしたし、

私が主張したこと全部は実現しませんでしたが、

ボスにも一応私の熱意が伝わったらしく、
掃除の時間を増やしてくれたり
掃除道具を買い揃えたりしてくれました。



今考えても、あんな企画書まで作ることなく、
ボスに直接ガンガン意見していれば
良かったのかもしれません。。。


ともあれ、
部屋の清潔度はいくらかマシにはなったのでした。



あの時、マイキーにかけてもらった

“Keep going.”
“Keep like you.”

という言葉。


日本に帰ってきた今もなお
私を支えてくれています。


30にもなって、
いまだにふらふらと夢見心地でいる私ですが、
一方で年相応の社会常識もあります。


「こんなことしてていいのかな・・・」
なんて考えることもあるのです。


でも、世間様にどう思われようと、
自分の選んだ生き方が
常にできるようにありたいと思います。


世界一周の果てにもらった言葉に
勇気をもらいながら、
そのようにありたいと強く思います。

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